技術コンサルタントとしてのセカンドキャリア

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村岡 祐介さん

1980年、国立豊橋技術科学大学卒業(エネルギー変換工学課程)、日立造船入社、発電プラント計画部にて、各種自家発電設備、ゴミ焼き発電設備の基本計画・設計を担当し、プラントエンジニアリング技術を習得。
1984年以降、大日本スクリーン製造入社、半導体基板、ガラス基板、太陽電池基板等を含む汎用基板などの、主に洗浄・エッチング装置、熱処理装置、その構成モジュールなどの案件に対して、顧客ニーズから基本構想(システム)提案、基本設計、機能仕様書作成、プロジェクト運営、性能・機能評価、量産フォロー、知財権確保などの一連の業務に実績と経験を積む。共同開発の経験多数。半導体洗浄装置の専門書への執筆、講演など多数。特許取得は、国内のみでも98件に及ぶ。(2012年4月調査、出願件数は250件以上)
第48回京都府発明功労者表彰「最優秀賞」(平成16年度)、平成17年度近畿地方発明表彰「発明奨励賞」など受賞。
2009年以後、大手ハードディスク基板製造メーカー、大手事務機器メーカー、大手フラックス洗浄液メーカー、フレキシブルプリント基板検査装置ベンチャー、大手半導体製造装置メーカー、ハードディスク基板製造装置メーカー、大手フィルタメーカーなどの技術顧問を歴任し今日に至る。その他の技術コンサルティング・事業企画などの案件も多数担当。

退職後コンサルタントとして

-三上  コンサルタントとして仕事を始めたきっかけを教えてください。

-村岡さん 僕は元々大日本スクリーンという会社に勤めていたのだけど、リーマンショックのタイミングで大きなリストラ、人員削減があって、その時に退職を決めました。
退職後は前職の経験を活かして転職を希望していたのですが、なかなか案件が見つからず、だいたい年齢オーバーで受け入れてくれる会社がありませんでした。
その時に正社員として転職するのではなく、スキルを活かしてパートタイムで複数の会社を掛け持ちする働き方もあることを聞いて、コンサルタントという働き方を知りました。

-三上  コンサルタントとして最初に担当した案件について教えてください。

-村岡さん 一番最初に担当したのは大手の総合化学品メーカーの歩留まり低減に関する依頼でした。
具体的には電子部品の洗浄で、半導体の洗浄をずっとやっていた僕にとってはなじみの深い領域でした。
契約期間は1年間、隔週で2-3日洗浄工程の設計教育や改善提案、乾燥方法の検証などを行いました。
特にクライアントの技術部門が見逃していた部分を洗浄するための特殊な改良や、
洗浄槽内の流体状況をしっかり把握するための評価技術の提供によって問題となっていた歩留まりはかなり改善されたため、高い評価を頂きました。

talk

一回一回が真剣勝負

-三上  前職の企業に勤めていた時と、コンサルタントの今はずいぶん働き方が違って考え方や意識が違ってきていると思いますが、何が一番違っていますか?

-村岡さん とにかく真剣勝負ですよね。一回一回。
一回行ったときにこの提案なんだと思われたらもうそれで終わりなので、相手が考えている以上の検討結果を出して、”そこまで考えてくれたのか!”ということをやるためには、相当な準備が必要です。
その代り余計なことをしなくていいのが良いですね。人事管理とか人を評価したりしなくて済む。
好きなことや自分の得意なことに専念できる。ただそのかわりいつ切られるかわからないリスクを背負いながらやっています。

とにかくしがみつけ!

-三上  村岡さんと同年代や、50代ぐらいで定年後のキャリアを考えて会社をやめたり、次のキャリアを探そうとしている人はどのように考えて行動すべきだと思います?

-村岡さん  僕ね、今前職の同僚と飲みに行くと「とにかくしがみつけ!」って言ってるんですよ。僕も結構自信があって十分稼げると思って会社を早期にやめましたけど、なかなか世の中は甘くない。

どこいっても技術の価値をわかる人ばかりではないんで、辞めるためには相当な技術と人脈、これでやっていけるという目算が無いと厳しいでしょうね。
だから「会社がつぶれるまでしがみつけ!」って言ってるんですよ。「君たちぐらいの技術じゃとっても無理だよって」

僕も相当自信あったんですよ。この業界じゃTOPの技術と知識があるって。

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30代から考えないといけない!?

-三上  独立した方がいい人っています?

-村岡さん  それはいるでしょうね。
技術があるのに会社からの評価されていなくって、全然別な仕事させられて腐ってる人ですかね。
腐って仕事するぐらいならやめた方がいいですよね。力が本当にあるなら自分で好きにやってみればいい。
ただ飲みに行って愚痴言って済むぐらいならやっぱり「しがみつけ!」ってね。

-三上  退職後に村岡さんのようにコンサルタントなどで働き続けられるために会社にいたときから準備したことや考えていたことはなんですか?

-村岡さん  独立するのは非常に難しいですよ。ただ僕だって再就職を考えましたが、年齢のこともあり自分の希望に沿う就職はなかなかむずかしいですね。一番いいのは40代で専門的な技術をつけて、52-3歳でちょっとランクは下がるけど自分の技術を活かして長く働ける職場に巡り合うことでしょうね。ただそれ出来る人ってなかなかいないですよ。
あとは、人脈を活かして次の就職先を見つけるぐらいですかね。そのためには会社員時代から人脈を広く持つことが必須ですし。

-三上  専門性がやはり重要ということですか?

-村岡さんそうですね。自分の専門性がなんなのかを30代後半ぐらいから見極めて、40代-50代でその技術じゃ誰にもまけないくらいに身につけないといざ50代で考え始めても遅いですよね。

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