シニアの継続雇用の必要性、世代間に意識の差

オランダに本社を置く総合人材サービス会社、ランスタッドホールディング・エヌ・ヴィーは、四半期ごとに世界34の国と地域の18~65歳を対象に、労働者意識調査「ランスタッド・ワークモニター」を実施しており、このほどその中から、職場におけるシニア人材に関する結果を発表した。調査の結果、労働力人口の減少を懸念しながらも、シニア層の継続雇用には消極的な日本の状況が明らかになった。

少子高齢化による労働力人口の減少は、日本以外の国でも直面している懸案事項。グローバルでは68.2%、日本ではそれを上回る79.8%がその課題を認識している結果となった。世代別で見ると、若年層ほど労働力の減少への懸念度合いが強く、特に日本では44歳までの約85%が危機意識を持つことがわかった。

労働力人口の減少に危機感を持ちながらも、シニア層の継続雇用については、グローバルでは55.9%、日本では53.3%が「ビジネスの成長に不可欠」と回答するに留まっている。年齢が高いほどシニア層の継続雇用に必要性を感じている傾向だが、グローバルと比較すると日本は世代間の意識の差が大きく、55歳以上が同69.7%であるのに対し、18~44歳では40%台前半という結果となった。
(ニフティニュース 8月31日)

世界の平均と比べて、日本の45歳未満がシニアの継続雇用に消極的な理由はいくつかあるが、日本の人事制度に、まだ、年功序列の要素が残っていることもそのひとつだ。高齢者が高い地位に長く留まることで、若い世代が昇進できないとすると、若年世代の不満は鬱積する。

逆に、年齢よりも能力と成果によって地位と報酬が決まる国では、シニアの継続雇用に対する抵抗は少ない。若くても、能力があり成果を上げれば、処遇が良くなるのなら、シニアとの競争は平等だ。若い世代は、自分が昇進しなかったとしても、それはシニアがいるせいではなく、自分の責任と思える。

一方、シニアにとっても、年齢ではなく能力や成果で地位や報酬が決まった方が、雇用のチャンスは多くなるというメリットがある。年齢だけで、労働市場から排除されたのでは、能力を発揮する機会を失う。

年功序列にも組織の長期的な安定を保つなどのメリットもあるが、今少し、能力や成果を重視する方向へシフトした方が良い時代になっているのかもしれない。