シニアの消費の矛先は?

uenoshouhi


消費を牽引するシニア

2013年11月の家計調査で、65-69歳の消費支出は287,807円で全世帯平均の279,546円を上回り、消費構造を見ると60歳以上の世帯の消費額が全体の46.6%を占めているというデータが発表されていました(日本経済新聞2014年1月9日夕刊)。

人口に占める高齢者の割合が増えているのですから、消費構造も同じようにシニア層が中心になっていくというのは、ある意味当然の流れですが、これまでそれがどのように変わってきているのか、シニア層が中心になってくると消費構造にどんな変化が起こってくるのか。

同じ家計調査のデータを分析した「高齢者の消費について」というレポート(参議院『立法と調査』2013年11月号)がありましたので、そこから見てみましょう。
全世帯平均の消費支出額は、この10年間減少傾向が続いています。一方、世帯主が65歳以上の高齢者世帯の消費支出は年によって増減はあるものの25万円前後でほぼ一定。景気低迷下でも底堅く推移してきた、ということができます。


資料:参議院「立法と調査」2013/11月 元データは総務省「家計調査」

2013年の全世帯の消費支出は、11月までの数字と12月の動向を見ると景気の回復傾向を受けてプラスに転じそうですが、高齢者世帯の消費支出額の伸び率は、それをさらに上回るとみられています。
冒頭でご紹介した記事では、「株式などの有価証券の約7割を60歳以上の世帯が保有しており、足元の株高効果でシニア消費の伸びが大きくなっている」と分析しています。

シニアの支出のキーワードは「健康維持」「住宅」「孫」

では、シニア世帯はどのような商品やサービスに支出しているのでしょう。1世帯当たり1か月間の消費支出額が、全年齢平均の何倍となっているかという数字を見ると、多いのはやはり健康関連の項目です。世帯主が65歳以上の世帯の「医薬品」への支出は全体平均の1.43倍、「保健医療サービス」も1.38倍と、薬や医療費の支出負担が大きくなっていることがわかります。さらに、健康食品やサプリメントなどが含まれる「健康保持摂取品」は1.65倍、「スポーツクラブ使用料」は少しデータの取り方が違うので60-69歳の世帯という括りになりますが1.47倍と、健康維持のための支出も積極的に行われていることが伺えます。

保健医療費と並んで支出割合が大きいのは、ひとつには住居の「設備修繕・維持」費(1.68倍)。レポートでは、「老朽化・劣化した設備・機器の修繕や住宅のバリアフリー化のため、高齢者の住宅リフォームへの需要が高まっている」と分析しています。長年住み続ければ修繕が必要な個所も増えてくるでしょうし、家族構成が変化したり家に居る時間が長くなると、それまでとは住まいに対するニーズも変わってくるというものでしょう。

もうひとつ、シニア世帯の支出が多いのは「交際費」。65歳以上で1.45倍、70歳以上になると1.51倍と増えます。そんなに交友関係が広くお付き合いが多いのかと思うと… 多いのは「交際費」に含まれる「贈与金」とのこと。「贈与金」には、子供や孫にあげるいわゆるお小遣いが含まれており、その金額が多いとみられています。
家計調査は調査対象世帯数が少なく実態を反映していないと言われることもない訳ではないのですが、とりあえず標準的なシニア世帯層の状況として考えると、皆さんの消費支出にはどのような傾向があるでしょうか。