デフレ脱却は果たした?-消費者物価指数から-

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デフレ脱却は本物?

物価の上昇傾向が鮮明になってきました。
1月末に発表された昨年2013年の消費者物価指数は、値動きの激しい生鮮食品を除くベース(コア指数)で5年ぶりに前年比プラス(0.4%)。
消費税増税前の駆け込み需要が拡大していることもあり、 “デフレからの脱却”を果たしつつあるという声が聞こえてきています。

一方、物価上昇の要因が、依然として円安に伴った石油価格の上昇にある状況には変わりはないという見方もあります。
昨秋にこのコラムで、「デフレから脱却したというには、コアコア指数(酒類を除く食料品およびエネルギーを除く指数)のプラスが定着することが必要」という話をご紹介しましたが、
コアコア指数はどうなっているかというと…
実は、月次ベースではコアコア指数も、昨年9月以降0.0%→0.3%→0.6%→0.7%とプラス基調に転じています。
通年では-0.2%と、依然としてマイナスなのですが、マイナス幅は着実に狭まっています。
ということは、やはり本格的に物価が上昇に転じてきているということかもしれません。
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デフレ要因の家電も駆け込み需要で値上がり

消費者物価指数に大きな影響を及ぼしている品目が、この食料品とエネルギーの他にもうひとつあります。
それは、家電製品・デジタル機器。
テレビ、携帯型オーディオプレーヤー、ビデオレコーダー、パソコン、カメラ、デジタルカメラなどを含む“教養娯楽用耐久財”の物価指数は、2001年から2011年まで毎年前年比10%を大きく超えるマイナスが続いており、デフレの大きな要因とも言われています。

消費者物価指数というのは、家庭で消費される588の品目(商品・サービス)の価格を調査して算出されます。
が、その中には当然機能、規格、容量などによって、大きく価格が異なる品目があります。例えばテレビでは、32インチと52インチでは価格が倍以上異なります。
このため「品目を代表すると考えられる銘柄(スペック)を「基本銘柄」として指定し、毎月、原則としてこの「基本銘柄」に該当する商品の価格を調査」しているそうです。
しかしながら、機能がどんどん進化し、半年に一度新製品が発売され、新製品が出るとすぐに旧モデルの価格が大幅に下落するようなデジタル機器について、この“基本銘柄”を定めるのが難しいことは想像に難くありません。
全国規模の調査で毎月銘柄を見直すわけにもいきませんが、同じ銘柄を見ていては、価格は下落する一方です。
そもそも、1-2年経つとその銘柄(型番)自体がなくなってしまいます。
機能向上が進むデジタル機器は、本来物価調査には向かないともいえますが、家計消費にとっては重要な品目でありそれを外すわけにもいかない… 
結果、“教養娯楽用耐久財”の価格指数は1980年以降、ずっと前年比マイナスが続いているという訳です。

ところが、この家電製品・デジタル機器についても、昨年末以降は増税前の駆け込み需要で値上がりの傾向がみられるそうです。
しかし、それも「安価なパソコンはタブレットに市場を奪われ、パソコンは高価格モデルの存在感が高まっている」(BCNの森英二アナリスト、日本経済新聞2014/2/1)という要因もあるとのこと。
増税前の駆け込み需要とその後の反動がどうなるか。物価動向からはまだまだ目が離せそうにありません。