「70歳の壁」年齢で判断されるのはあり?

年齢による差別では―。求職するシニア世代が年齢を理由に企業側から採用を拒否される事例が静岡県内で後を絶たない。物価高や現役世代の減少に伴い年金が目減りする中、老後資金に不安を感じる70代から「年齢だけで判断されるのはおかしい」という声が上がっている。特に70代は健康状態の個人差が大きく、マッチングが難しいとされる。
(静岡新聞 8月31日)

年齢で採用されないことがあるのは事実だ。それは、新卒採用で偏差値の高い難関大学の学生が有利なのと似ている。学歴フィルターはないという企業の建前とは裏腹に、難関大学の就職先一覧に名を連ねているのは著名な大企業だ。採用の効率を考えれば、何らかの属性でフィルターにかけて候補者を絞り込み、残った少数の候補者に対して時間をかけて採否を検討した方が良い。年齢や学歴は業務上の能力との相関関係が統計的に証明されており、フィルターに使うには分かりやすい属性だ。採用の現場の忙しさを考えれば、こうした効率化を無下に否定することは難しい。

しかし、AIなどの新たな技術が採用に使われるようになり、フィルタリングの様相は変わりつつある。AIによる新卒採用では、学習データとして学歴だけでなくインタビュー結果など様々な情報を使用し、人間では時間がかかり過ぎていた総合的な評価を瞬時に下す。こうした技術が普及していけば、シニアに対する中途採用でも、年齢だけで採用を拒否することは少なくなるのかもしれない。