それでも米国株が「イチ押し」な理由

個人資産14兆円を持つウォーレン・バフェット。彼はなぜ世界一の投資家になれたのか。バフェット自身がその答えを述べている。「それは私が米国に生まれたからだ。これは私にとって、とてつもなく大きなアドバンテージだった」。バークシャー・ハザウェイの株主総会(2013年)での発言だ。バフェットが語る通り、1965年から2021年末までの56年間で米国のS&P500種株価指数は年率平均10.5%で伸長、303倍になった。ちなみに日経平均はこの間、20倍にしかならなかった。303倍と20倍、この差は確かに著しく大きい。
(日経ヴェリタス 2月12日)

日本政府は、老後資産の確保には貯蓄から投資への転換が必要だと主張しているが、日本の株価はそれほど上昇していない。この記事が紹介している1965年から2021年末までの56年間では、株価上昇率は日米で10倍以上の開きがある。それでも20倍になったのなら良かったのではないかとも言えるが、それは、評価対象の期間を1965年という日本の高度成長期から始めているからだ。60年代の日本は、実質経済成長率が年10%を超えていた。日経平均は、バブル相場のピークだった1989年12月の大納会に38,915円を超えたが、2023年2月は27,500円前後だ。1989年末に退職金を日経平均に連動する投資信託に投資した人は、未だに、含み損を抱え、老後資産の目減りに苦しんでいることになる。

日本政府が老後の備えとして貯蓄から投資への転換を推奨するなら、まず、継続的に成長する日本経済を作り上げるべきだ。そうでなければ、日本の個人資金は国内の貯蓄から海外への投資に振り向けられ、結果として、日本の低成長と海外の高成長が続くことになる。