ヘルパー「還暦でも若手」 進む高齢化、60代超4割弱

訪問介護を担うホームヘルパーの高齢化が進んでいる。2021年度の民間調査では4割弱を60歳以上が占めた。低賃金などを理由に若手が育たず、介護現場の人手不足が深刻だ。ベテランヘルパーの負担が増加しており、体力が必要な作業ではケガや事故のリスクも潜む。訪問介護事業者からは「このままでは事業が継続できない」と不安の声が上がる。
(日本経済新聞 12月24日)

一般的に、介護サービスの中で高齢者の働く場が増えることは、高齢者の雇用機会の拡大という観点で歓迎されている。ただ、訪問介護は、一人で要介護者宅へ赴いて介護を行うため、体力が必要となることが多い。ベッドからの移動など、高齢のホームヘルパーにとっては、厳しい業務もある。介護施設内での業務であれば、若い職員に手助けを求めたり、作業負荷を軽減する器具を使用したりすることもできるが、訪問介護では難しい。

若手のペルパーが不足する中、根本的な解決は難しいが、解のひとつは、一人ではなくチームで対応することだ。重度の要介護者や体力を必要とする作業をする場合は若手のヘルパーが訪問し、その他の場合はシニアのヘルパーが担当するなど、サービス提供体制の工夫によって、作業負担を一定程度緩和することができる。

このことは、介護サービスに限らず、一般企業における高齢者の役割分担についても同様だ。異なる能力を持つ要員を組み合わせて組織的に業務を遂行することができれば、高齢者を含む個々の従業員が体力や適性に応じて能力を発揮することができる。