地方デジタル化で東京圏から年1万人の移住目指す「田園都市国家構想」

政府は23日午前、「デジタル田園都市国家構想」の5か年総合戦略を閣議決定した。2027年度に東京圏から地方への移住者を年間1万人にすることを目指し、デジタル化に取り組む自治体を全国で1500に増やすことなどを柱としている。
(中略)
総合戦略では、テレワークができる地域の拠点「サテライトオフィス」を持つ自治体を1200に増やすなど、都市と地方のデジタル格差を解消し、移住者を増やすことを目指している。高齢者にデジタル端末の利用方法を教える「デジタル推進委員」を27年度までに5万人確保することも明記した。
(読売新聞 12月23日)

首都圏から地方へ移住する人を増やすのに税金を投入することが合理的かどうかは議論のあるところだが、一般的に言って、人口密集地以外でも雇用機会を増やし、人口の分散を図ることには、一定の合理性がある。

ただ、その手段として、「高齢者にデジタル端末の利用方法を教える『デジタル推進委員』」を5万人確保するというのは、筋が違うかもしれない。デジタル庁が推進するデジタル推進委員5万人と移住者年間1万人という数値目標の間に因果関係はほとんどないと思われる。デジタル推進委員を10万人に倍増させれば、移住者が年間2万人になるわけでもない。結局、デジタル推進委員を供給する一部の業者に税金が流れるだけだ。

テレワークの普及によって東京圏からの移住者を増やすには、むしろ、地方に住む高齢者ではなく、東京圏に住むすべての世代に対して、テレワークを円滑にできる情報インフラとそれを使いこなすリテラシーを与えることの方が重要だ。東京でテレワークがストレスなくできている人なら、地方への移住にも抵抗は小さい。