70歳就業企業の割合微増 厚労省「定着に期待」

厚生労働省が16日発表した2022年の高齢者の雇用状況調査によると、定年延長や継続雇用の導入などにより、希望者に70歳までの就業機会を確保している企業が全体に占める割合は前年比2.3ポイント増の27.9%だった。厚労省の担当者は、検討を進めている企業もあるとの見方を示し「さらなる定着を期待している」と述べた。
従業員21人以上の23万5875社の報告を基に、22年6月1日時点の状況を集計した。就業機会を確保する方法を見ると、継続雇用制度が21.8%で最も多い。定年制廃止が3.9%、定年の引き上げが2.1%と続いた。業務委託や、社会貢献事業に参加できる制度の導入は0.1%にとどまった。
(日本経済新聞 12月16日)

毎年、この時期に発表される高齢者の雇用状況調査によれば、希望者に70歳までの就業機会を提供している企業が増える傾向は続いている。ただ、その増加率は、前年比2.3ポイントと微増に留まった。全国23万5875社の報告を基にした調査だけに、誤差は少ないと思われるが、2.3%増は横ばいと表現してもよいような変化だ。恐らく、増加率を大幅に高くするには、70歳までの就業機会確保を努力義務ではなく、義務にする必要がある。

しかし、義務にするには、企業の抵抗が小さくなるような環境を作り出さなければならない。大企業の約8割が70歳までの就業機会を確保していない現状では、義務化には無理がある。義務化に法改正するには、努力義務の下でも大企業の過半数が対応することが必要だ。そのためには、現在、0.1%に留まっている業務委託や社会貢献事業の普及が鍵となる。今のところ、企業も高齢の従業員も今までの働き方の延長以外の選択肢にメリットを感じていないが、潜在的な可能性は大きい。行政は、先進的な企業と協力して、こうした選択肢の拡大に注力すべきだ。