2050年の米国の高齢者、現在30歳の人の未来は

米国の出生率は10年前から低迷し、65歳の米国人の平均寿命は85歳に近づいている。高齢者に対して若者の比率が下がり続ける中、われわれの社会は21世紀半ばには一段と高齢化している可能性が高い。この潮流は米国社会の成り立ちを覆し、現在30歳の人が60代に突入する頃、その生活ぶりは現在60歳の人とは全く違っている公算が大きい。
(中略)
スタンフォード大学長寿研究センターのローラ・カーステンセン所長は、教育が主に若年期に行われ、中年期は賃金労働、老後は余暇活動をして過ごすという生涯モデルから脱却することが予想されるという。「人々はより長い年数の間、より柔軟に働くようになる」とカーステンセン氏は言う。週休3日制や4日制、キャリアの一時中断は当たり前になり、高齢の労働者を引き留めるため、企業は労働時間を徐々に減らすことを認めるだろう。
(THE WALL STREET JOURNAL 11月29日)

日本に限らず、多くの先進国で少子高齢化が進行している。比較的出生率の高かった米国も例外ではない。若い移民の流入やヒスパニックの人口増加で、高齢化のスピードが抑制されている面もあるが、高齢化の潮流は続いている。早晩、米国も日本と同様の高齢化社会になることは避けられない。

高齢化が進めば、どの国でも高齢者の雇用機会の拡大を模索する。高齢者に長く仕事をしてもらうためには、カーステンセン氏が言うように「より柔軟に働く」ことが重要だ。その点、元々、人事制度に柔軟性のある米国の方が、日本よりも対応しやすい。米国では、「週休3日制や4日制、キャリアの一時中断」は、「当たり前」という程ではないにせよ、既に、年齢に関係なく一定数の人々が実践している。これをさらに社会全体に普及させることに、それほど抵抗はない。日本でも、高齢者に対してより柔軟に働けるようにするだけでなく、若年層も含めた勤労者全体がより柔軟な働き方の選択をできるよう改善していくべきだ。