海外の定年年齢は? 何歳まで働いている?

人生100年時代を迎え、高齢者になっても仕事の継続を希望する人が増えています。また、高年齢者雇用安定法の改正などによって、政府が企業に、就業機会の長期化を促す傾向もみられ、高年齢就業の追い風となっています。では、海外ではどうなのでしょうか?
(中略)
厚生労働省が編集する「世界の厚生労働2007」では、欧米諸国(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、OECD諸国平均)での定年の傾向が簡潔にまとめられていて参考になります。
(中略)
ここに挙げられた西欧諸国では、定年を迎える前に早期引退する傾向が強いのに比べ、日本では、西欧諸国とは逆転していることが分かります。
(FINANCIAL FIELD 11月22日)

ここで言う定年年齢とは、「公的な老齢年金を満額で受給可能な最低の年齢」である公式引退年齢のことだ。そもそもアメリカには定年がない。欧米で公式引退年齢より実引退年齢が若いのは、年金を受給するようになっても働こうとする人が少ない一方、資産を蓄えて年金をもらえる前に引退する人が一定数存在することによる。足元では、各国とも新型コロナウイルスのロックダウン対策として個人に給付金を配ったため、個人資産の蓄積が進み、早期引退が加速して、実引退年齢はさらに下がっている可能性が高い。アメリカでは、パンデミックが収束した後も高齢者が労働市場に戻らず、労働力不足から賃金上昇が続いて、インフレの高止まりが懸念されている。

これに対して、日本では、年金だけでは生活できないと考えている人が比較的多い。元々年金水準が低いのに加えて、物価上昇下でも年金が減額されるという現実の前に、年金受給年齢になっても働きたいと思う人が多数派だ。

欧米と日本、どちらが社会のあるべき姿かは一概に決めることはできない。国民の選択の問題でもある。ただ、いずれにしても、働きたいと思う人が働ける社会であることが重要だ。