NEC、さらば役職定年 50代後半「消化試合」にしない

55歳前後で管理職から外す「役職定年」制度を廃止する企業が増えている。組織の新陳代謝と人件費抑制を狙った制度だが、年収も平均2割減り意欲を失う人材は多い。労働力人口が減っていくなか、本当の定年まで「消化試合の5年」となってしまうのは本人にとっても会社にとっても不幸だ。NECは実力主義で約1000人を管理職に復帰させ、シニアの力を生かす。
(日本経済新聞 11月8日)

富士通は入社2年目の従業員を課長に抜擢したが、同業のNECは役職定年をした約1000人を管理職に復帰させた。一見、逆の方向にも見えるものの、年齢に関係なく能力によって役職を決めるという点では同じだ。若くても高齢でも能力があれば管理職となり、管理職になっても能力がなければ降格することもある。そんな人事制度が日本でも一般化してきた。

能力と待遇に乖離があれば、能力の高い人材の獲得は難しいし、能力の高い従業員ほど転職していくことになる。かつては、役職定年を迎えた50代が転職することは難しかったが、今や、有能なシニアの転職は珍しくない。終身雇用や年功序列の要素が日本の人事制度から薄れていく中、有能な人材を確保するには、能力と待遇を合理的に一致させる必要がある。役職定年は、日本企業の人事制度から、次第に消えていくことになるだろう。