妻の老後 延びる寿命、少ない年金

「長い老後を考えると、自分の受け取る年金が少ないのは不安」。パートタイムで働く千葉県の女性Aさん(37)はこう話す。現在は教育関連会社の事務職で、月収は10万円ほど。結婚前の数年間を除くと厚生年金に加入せず働いてきたため、Aさんの公的年金は基礎年金(国民年金)が中心となる見通しだ。
(中略)
厚生労働省の「生命表」で最も死亡数が多い年齢をみると女性は93歳。男性の88歳より5年長い。90歳まで生きる人の割合も52.6%と半数を超え、男性の28.1%を大きく上回る。
(日本経済新聞 7月30日)

女性の老後資産に関する記事が多くなってきた。一人暮らしの高齢女性が増えている現状を踏まえれば、女性の老後の経済問題に対する関心は大きい。夫が十分な資産を残していれば問題はないが、そうでない場合、夫の死後、夫の遺族年金や妻自身の年金だけでは生活水準の維持が厳しくなる。夫婦が現役で働いているときから、妻が長生きするリスクについて話し合い、長期的な資産計画を立てておくことが大切だ。

しかし、妻ではなく、独身女性の場合は、夫の資産や遺族年金に頼ることもできないので、さらに厳しくなることもある。より早めの準備が必要だ。

もっとも、男女の雇用機会が均等となり、賃金格差がなくなれば、女性であることのリスクは、男性より長生きすることだけになる。健康寿命と死亡数最多年齢との差は、男性が約15年、女性が約18年だ。つまり、介護を必要とする期間は女性の方が3年長い。男女の賃金格差がなくなり、健康な高齢者のすべてが働ける社会になれば、女性が男性に比べてより多く背負うリスクは、この3年間の生活費や介護費用だけとなる。まずは、こうした社会を目指すべきだ。