ITを味方に、変わるシニア

積極的にデジタル技術を取り入れ、よりアクティブな生活を実践する高齢者が増えている。ウェブアプリのマッチングサービスで仕事を探したり、スマート機器で身体機能を補助したり。人生の選択肢を広げようと前向きに取り組む「スマートシニア」が活躍し始めている。
平均年齢72歳。プロ顔負けの技術で個人宅の庭木を剪定(せんてい)する「SLFガーデンサポート」(千葉県柏市)には、定年退職後のメンバー39人が所属する。作業予定や業務管理には、高齢者の社会参加を支援するプラットフォーム「GBER(ジーバー)」を使う。ウェブアプリで勤務可能な日時を入力すると、条件に合う業務をマッチングさせることができる。
(日本経済新聞 7月16日)

団塊の世代のホワイトカラーは、現役時代に職場でPCを使っていた。そもそも、デジタルデバイドとは言えない世代だ。スマホの世界には不慣れかもしれないが、使い方を知ってしまえば、使いこなすことができる。PCのソフトよりスマホアプリの方が、操作がシンプルな分だけ、使いやすいとも言える。何より、起動するとすぐに画面が立ち上がるのがよい。GBERのように高齢者をターゲットとして開発されたアプリでは、操作性もよりシンプルで使いやすい。

特に、GBERは、操作性の良さだけでなく、業務のマッチングの方法にも工夫を凝らしている。業務を分割して、最適な求職者に割り当てるモザイク型就労のサポートは、その代表的な特長のひとつだ。「モザイク型就労とは、就労条件をスキル、時間、場所の3つに分け、それらを組み合わせることで、バーチャルに一人分の労働力として提供する仕組み」だ。この機能により、フルタイムで働くことが難しい高齢者も、自分の能力や都合に合わせて、就労することができる。人手では難しいこうしたマッチングが安価にリアルタイムで実現できるのもITの効用だ。今後もITを駆使した様々な高齢者支援サービスが出現するだろう。