「星の清里協同組合」派遣事業が順調なスタート

農家の高齢化による担い手不足を解決しようと、この春に上越市清里区で結成された「星の清里協同組合」。田植えなどに社員を派遣する事業が順調なスタートを切りました。
「星の清里協同組合」は、農家の高齢化による担い手不足を解決しようと、清里区にある7つの農業法人などが立ち上げました。具体的には組合として社員を通年雇用し、組合の加入事業者に派遣する形となります。ポイントは派遣先を1か所に限らないこと。社員が農作業などの内容に合わせながら、複数の事業者を掛け持ちします。
(上越妙高タウン情報 6月5日)

農家の繁忙期に労働力を供給する組織が全国的に増えている。元々、日本では、農業以外の職業を持ち、繁忙期だけ農業に多くの時間を割く兼業農家が多かった。兼業農家では、繁忙期と閑散期の労働力の差は、家庭内で調整してきた。しかし、農家の高齢化と核家族化が進み、高齢者のみの農家が増えると、家庭の中だけでは繁忙期を乗り切るのに十分な労働力を確保できない。「星の清里協同組合」のような臨時の労働力を提供する外部組織の存在の意義が大きくなっている。

このため、総務省は、特定地域づくり協同組合制度を創設し、人口減少地域において、農林水産業、商工業等の地域産業の担い手を確保するための特定地域づくり事業を行う事業協同組合に対する財政的、制度的な支援を行ってきた。「星の清里協同組合」もそうした事業協同組合のひとつだ。2022年2月28日時点では、全国で33の組合が活動している。

ただ、課題もある。国からの支援があるとはいえ、こうした事業協同組合の収益性はそれほど高くない。一般に、過疎地域での臨時雇用者の給与は低く、その収入だけでは生活が成り立たず、派遣職員が集まらない。派遣職員が少ないと、組合の運営費を賄うことができず、事業の継続は難しくなる。

このような状況の下で、各組合はそれぞれ独自の努力を積み重ねているが、組合が顧客に提供する付加価値を上げない限り、根本的な解決にはならない。たとえば、「職員を何人月」というような労働力を提供するのではなく、「田植えや稲刈りを何ha」というようなサービスを提供するよう事業を拡大するなど、発想の転換も必要だ。