「甚兵衛はん」でありたい

人生100年時代です。新聞記者の中にも、定年退職後に再雇用という形で現場に戻るベテランが増えています。
(中略)
上方落語では、物知りの「甚兵衛はん」が登場し、若者に仕事を世話してやったり、様々な知恵を授けたりします(ちょいちょい、知ったかぶりをして失敗もしますが)。私も後輩から「何かネタありませんか」と相談されることがあります。そんな時は、甚兵衛はんのように役に立てる存在でありたい。
(読売新聞 4月10日)

「甚兵衛はん」は、落語の中の登場人物であり、笑いのネタのひとつではあるが、昔から続くシニアのあるべき姿を表している。若者から、お節介と思われることもあるが、頼りにされている面もある。

シニアが定年退職後に現場に貢献できることは、意外にあるものだ。シニア自身が現場の「役に立てる存在でありたい」と思い、現場の人々の視点に立って、自分が貢献できることは何かを考えれば、自ずとなすべきことは見えてくる。若い人々も自然と相談したり、頼りにしたりするようになる。

この記事を書いた新聞記者の場合は、新聞記者という仕事柄、現役時代に培ってきた知識と人脈が役に立っている。特に、人脈は若い記者には一朝一夕に作れないものであり、ベテラン記者の支援は取材現場にとってありがたい。現役のときには、人脈は、自分の財産であり、他人に教えないこともあったのかもしれないが、出世競争を卒業したシニアにとっては、社内で共有して会社に貢献する方が達成感を得られることもある。まずは、現場の「役に立てる存在でありたい」と思ってみることだ。