高齢者を「金の卵」に 袋井・森地域の人材センター

袋井市、森町の六十歳以上の四百七十人が加入する「袋井・森地域シルバー人材センター」(袋井市久能、永田進理事長)が、会員のスキルに合わせた新規就業先の開拓を進めている。市も職員をセンターに派遣するなどして高齢者雇用の促進を支援する。受注はこれまで草刈りや樹木の剪定がほとんどだったが、デスクワークや軽作業など会員が現役時代に培った経験を生かせる新たな職種の受託に向け、ダイレクトメールや企業訪問などによるPR活動に努める。
(中日新聞 2月2日)

一般的に、高齢者への求人は体を使う仕事が多いが、シルバー人材センターに集まる求人は、草刈りや植栽剪定など、さらに、特定の業務に偏っている。それに対して、求職者である高齢者が希望する職種は多様だ。このミスマッチが、近年、シルバー人材センターが会員を減らしている要因のひとつにもなっている。慣れない力仕事よりも今まで働いてきた会社でできるだけ長く働き続けた方が良い、と考える人は少なくない。

そのような中、静岡県袋井市のシルバー人材センターが、受託する職種を積極的に拡大しようとしていることは、高齢者の雇用促進にとって望ましい動きだ。昨年度の実績としては、新型コロナウイルスワクチン集団接種の受け付け案内や選挙の投票所の立会人など、行政に関わる臨時の求人が多いが、求人と求職のマッチングの仕組みが確立すれば、より長期の雇用も獲得できるようになるだろう。

加えて、シルバー人材センターが法人として業務の受託にまで踏み込めば、雇用はさらに拡大する。総務や経理、パソコンや英会話など多様な技能を持った人が会員として集まれば、それらの能力を活用する業務のアウトソーシングを受けることも可能だ。受託業務の細分化と会員のアサインの機能をシルバー人材センターが担えば、発注する企業にとっても業務を担当する会員にとってもメリットは大きい。