長野・山梨、高齢者3割就業 生涯現役で社会の担い手に

地域の担い手として、高齢者に「生涯現役」を目指してもらおうとする動きが広がっている。少子化が加速する中、限りある人材の活用は喫緊の課題。医療費の抑制にも寄与する。積極的に就業を支援する宮崎県や福島県では、65歳以上の仕事を持つ人の割合が5年で5ポイント以上増えた。総務省の「就業構造基本調査」を基に、65歳以上の人口に対する仕事を持っている人の割合「有業率」を算出し、直近2017年と12年を比較した。都道府県で最も増加したのは5.3ポイント上昇の宮崎県。有業率は25.9%だった。次いで福島県(5.2ポイント上昇、25.1%)、栃木県(5.2ポイント上昇、27.3%)の順。一方、最も水準が高かったのは長野県で30.4%。山梨県が30.3%で続いた。

(日本経済新聞 2月25日)

高齢者の健康寿命が延びる中、高齢者の有業率は全国的に伸びている。なかでも、宮崎県や福島県、栃木県は、伸び率が大きい。福島県は原発事故からの復興に伴う求人増加の影響もあるが、そうだとしても、5年で5ポイント以上という増加率は全国平均に比べてかなり大きい方だ。

65歳以上の有業率が増加した県は、いずれも、地元自治体を中心として、地域社会全体が高齢者の雇用機会の拡大に積極的に取り組んできた。その効果が、ここにきて、一定程度、顕在化している。この記事では、宮崎県が行ってきた高齢者と企業とのマッチングイベントや高齢者向けの求職相談が紹介されているが、このような施策は、そのサービスを通じて何人就職したかというような直接的な成果だけでなく、地域の住民や企業に対する波及効果が重要だ。逆に言えば、高齢者の就労意欲と企業の高齢者採用意欲を高める施策が、行政には求められる。このことについて、高齢者の有業率を大きく向上させた都道府県や、もともと有業率が高い長野県や山梨県には、学ぶべき点が多々ある。