凸版印刷が人事諸制度を刷新、定年延長

凸版印刷は2月14日、従来の職能等級制度に「ジョブ型」の要素を加えた「トッパン版ジョブ型人事処遇制度」の導入など、人事諸制度の改革を2022年4月から実施すると発表した。これにより、社会の変化に対応し、従業員の「働きがい」向上を推進する。
(中略)
従来は定年を60歳とし、最長65歳までシニア社員として再雇用としていたが、シニア社員が現役世代と遜色なく、またはそれ以上のパフォーマンスを発揮し得るという実感から、定年を65歳に引き上げる。定年後再雇用制度も改定し、最長70歳まで働けるようにした。

(ZDNet Japan 2月14日)

ジョブ型雇用の導入と定年延長の組み合わせが増えている。大企業の人事制度改革のトレンドとなりそうだ。年功序列からジョブ型雇用へ転換すれば、年齢ではなく成果に基づく処遇となり、60歳で一律に退職させる意味はなくなる。今後は、65歳への定年延長を経て、最終的には、定年廃止に至る企業が増えるだろう。

成果を重視して処遇を決める場合、問題になるのが、成果の客観的な評価だ。凸版印刷の新たな人事制度では、業績に直接関わる指標だけでなく、「持続可能な社会の実現」「ダイバーシティー」「人権の尊重」「社会的価値の創造」などの指標も含まれる。半期ごとの成果評価で、たとえば「人権の尊重」について結果を出すのは難しい面もあり、ともすれば上司の恣意的な評価になりがちなリスクもあるが、企業としての目標と従業員としての目標との間で整合性を取ることは重要だ。企業として人権尊重のような社会貢献に関する目標を掲げても、それが、各部門や従業員の目標にブレークダウンされていなければ、ただのスローガンに終わる。ジョブ型雇用の導入と定年延長には、目標設定の方法にも留意が必要だ。