健康可視化の変化から見る2040年の「健康価値」

次世代の健康管理と価値醸成には2つの要素が求められる。ひとつは健康状態の測定タイミングである。センシング技術の開発により、ウェアラブルデバイスから多様なバイタルデータがタイムリーに収集できるようになった。健康診断による年に一度だった健康状態の可視化が、日々できる環境に変化している。今後、日々の生活の中で健康度合いを数字で分かりやすく提示し、無意識に健康維持に向かわせる仕掛けづくりが広がるだろう。
もう一点は、健康の価値の数値化である。個人の医療費予測などは、健康を維持することで支払わずに済む費用が数字で分かるため、コスト負担を避けたいという動機づけに繋がる。
(Beyond Health 11月18日)

健康管理の精度が向上し、その結果を健康がもたらす価値の評価に有効に活用することは、人々が自分の健康に時間と金を投資する動機付けとなる。健康であることの経済的価値は、将来の医療費の抑制だけでなく、働き続けることによって得られる収入や、介護費用の低減など多岐に渡る。さらに、健康は、家族や友人と過ごす時間が長くなったり、旅行や趣味を楽しむ機会が増えたりと、金額に換算しにくい価値ももたらす。

近い将来、リアルタイムに健康状態を計測するのと同時に、リアルタイムにこれらの価値を定量的に表示できるようになるかもしれない。そうなれば、日々の食事や運動に注意をはらう人は増える。特に、就労による収入や介護の費用は、多くの人々が関心を持つ問題だ。健康状態との相関関係が明らかに示されれば、健康維持のインセンティブとなるだろう。