住宅ローン70歳完済時代 リバースモーゲージは高齢者を救うか

平均寿命が延びる中、老後資金の不足に直面する人が今後増加するのではないかといわれている。
(中略)
老後における住宅ローンの負担を軽減したい──。そんなニーズに対応できる商品も出始めた。住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供する60歳以上の高齢者を対象にしたリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」だ。これは、持ち家を担保にしてまとまった資金を借り、利息分だけ毎月返済するが、元金は死亡時に担保物件を売却することで一括返済する仕組みのローン。通常の住宅ローンのように元金と利息を併せて返済する必要がないため、毎月の支払い負担は軽くなる。
(日経ビジネス 10月27日)

退職金で住宅ローンの残金を支払う計画の人も多いが、近年、退職金は漸減傾向にある。退職後に住宅ローンが残ってしまうことも珍しくない。かといって、年金だけで生活することが厳しいとされている中、さらに年金から住宅ローンも支払うというのも難しい。こういうとき、リバースモーゲージ型住宅ローンは役に立つ。子孫に不動産を残す必要がないなら、死亡時に担保物件である自宅を売却することに、さほど抵抗はないだろう。

ただ、変動金利の場合、支払う利息が変動することに注意が必要だ。現在は、歴史的な低金利だが、各国が新型コロナウイルス対策で財政出動と金融緩和を進めたため、今後は、世界的なインフレになり、金利が上昇する可能性が高い。主要国の金利が上昇する中、日銀だけがマイナス金利政策を続けることは困難だ。将来、「リ・バース60」の支払利息が増えることも想定し、何らかの仕事を続けて年金以外の収入源を確保するなど、安心して暮らせる生活設計を立てておくべきだ。