在宅勤務の普及で、「引退」を遅らせる定年退職者が増加中

多くの人にとって、パンデミックがもたらした明るい兆しのひとつは、在宅勤務へのシフトが進んだことだ。
(中略)
英国国家統計局が2020年6月~7月に行った調査によると、50歳以上で完全に在宅勤務をしている人の11%が、退職時期を予定より遅らせたという。パンデミックの最中も出勤を余儀なくされた人では、この割合は5%だった。
(中略)
米国でも状況は似たようなものだ。ブルームバーグ(Bloomberg)が1月に報じたところによれば、米国では今回のパンデミックをきっかけに、高齢者が就労期間を延長する傾向が強まっているという。彼らの多くは、その理由として長時間通勤が不要になった点を挙げていた。
(DIGIDAY 10月22日)

新型コロナウイルスのパンデミックによって、職を失う人もいれば、退職を遅らせて仕事を続ける人もいる。在宅勤務ができない仕事では、ロックダウンの中、雇用そのものが消滅した業種もあった。一方、在宅勤務に切り替えることのできた仕事に就いている人は通勤から解放され、自由な時間を手に入れることができた。在宅勤務ができるなら、もう少し働いていよう、と思うシニアが増えるのは自然な流れだ。

もともと在宅勤務が一定程度普及していた英米で、これほど高齢者が退職を遅らせる傾向が強まっているのなら、在宅勤務がほとんどなかった日本では、もっと顕著に変化が見られるのかもしれない。実際、在宅勤務を利用して、東京から地方へ移住するシニアも増えてきた。これらの人々は、より長く仕事を続けようと思っているだろう。

ただ、日本のシニア向け求人は、警備員やマンションの管理員など体を使って現場で働く仕事が多い。高齢者の雇用機会の拡大には、在宅勤務でできる仕事の求人がもっと増える必要がある。