要121社、65歳以上の雇用に慎重…「実施」3割・「検討」6割

今年4月から企業の努力義務となった65~70歳の就業機会の確保について、国内の主要企業を対象に読売新聞がアンケート調査を実施したところ、65歳以降の雇用に取り組んでいるとの回答は約3割にとどまった。「検討している」が約6割を占め、企業側の慎重姿勢がうかがえる結果となった。調査は6~7月、各業種を代表する主要企業121社を対象に実施し、117社から回答があった。
(読売新聞 9月20日)

実施3割、検討6割なので、回答したほとんどの企業は、65歳以降の雇用に取り組んでいるか検討していることになり、数字の上では、前向きに取り組んでいるような印象も受ける。「取り組みもしておらず、検討もしていない」と回答したのは117社中6社のみで、5%程度に過ぎない。

ただ、今回の調査対象は主要企業であり、一般に、主要企業は、その社会的責任から、法令によって努力義務を課されたことについては、取り組む姿勢を示すものであることを考えると、「慎重」という評価は当たっているのかもしれない。「検討している」と回答した企業の中にも、具体的な制度を制定する目処が立っていない企業が多い可能性もある。

企業が65歳以上の雇用に慎重で、検討に時間がかかっている理由は、課題に対する回答に垣間見ることができる。課題は、「本人の意欲の維持・向上」(85社)が最多で、次は「賃金や人事制度の設計」(74社)だ。この両者は表裏一体であり、本人が働く気になるような賃金や人事制度ができれば、本人の意欲の維持・向上は図れる。高齢になれば、働く気になる要因が多様化するため、賃金や人事制度も選択肢を増やす必要がある。年齢によって一律だった従来の人事制度から多様性を持った人事制度への転換を如何に実現するか、それが、企業が検討すべき中心的な課題だ。