定年廃止 頼れるシニア 制度変更が増加

石川県で、定年制を廃止する企業が増えている。すでに再雇用制度や定年延長は定着しているが、さらに定年そのものをなくすことで、経験や意欲ある人材が安心して働ける環境作りを進めている。
(中略)
間仕切り大手のコマニーは4月、65歳を上限としていた定年制を廃止。会社の求める役割を果たせる限り年齢に関係なく働ける制度「シニア社員等雇用制度」を導入した。営業や技術系など幅広い現場で継続勤務を選ぶ人が増えている。「無理をして、働き続けてほしいわけではない」。バリバリ働きたい人もいれば、一息つきたい人もいる。一人ひとりの健康や意欲、スキルなどを鑑みながら、人事部が目標設定や給与、ライフプランを一緒に考えていく。
(日本経済新聞 9月3日)

地方の中堅企業で、定年延長や定年制廃止が相次いでいる。大企業に比べて50代の給与水準が低く、高齢の従業員の人件費がそれほど高くないことに加え、地域の高齢化が進んで、若い世代の採用が難しくなっていることもその要因だ。地方企業にとって、シニア社員の戦力化は避けて通れない。

シニアを正社員として雇用し続けることの必要性が高まることにより、企業の正社員に対する人事制度も変化を余儀なくされている。フルタイム勤務を前提とした画一的な人事制度では、幅広いシニアのニーズに応えることができない。コマニーの「シニア社員等雇用制度」は、この問題に対する解のひとつだ。

ただ、雇用形態に対するニーズが多様化しているのは、シニアだけではない。若い世代でも、育児や介護、あるいは、副業など、本業以外の生活とのバランスを重視するようになってきた。「シニア社員等雇用制度」の「シニア社員等」の対象が広がり、遂には、「シニア社員等」の表記がなくなって、一般社員全員に適用される制度になるのも、そう遠くない。