シニアの働き方柔軟に 企業、業務委託も選択肢

2021年度から施行された改正高年齢者雇用安定法で、70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務になった。
(中略)
制度改正を先取りした動きも出ている。電通は21年1月、早期退職募集に応じて退職した約230人と子会社を通じて業務委託契約を結んだ。在職時の給与のうち平均で5割程度を固定報酬として支給するほか、受託した事業の収益に応じて成果報酬も支払う。
(日本経済新聞 7月5日)

改正高年齢者雇用安定法は、定年の廃止や延長や再雇用などの従来からの就業機会の提供方法に加え、業務委託や社会貢献事業も選択肢として認めた。このため、業務委託という効用形態を選択する企業も出てきている。

電通もそのひとつだが、電通の場合は、「制度改正を先取りした動き」と言えるかどうかは微妙だ。電通の業務委託の対象は、早期退職募集に応じて退職した従業員となっており、65歳から70歳までの全ての従業員というわけではない。定年後の再雇用で給与が減額されるのはやむを得ないとしても、定年前に固定給が半額に減額されるのは、従業員にとって結構厳しい。65歳以上の就労機会の拡大策というより、定年直前の50代の人件費削減策のようにも見える。

電通に限らず、70歳までの就業確保を行うとすれば、企業としては、総人件費を抑制するため、シニア層以外も含めた人事制度全体を見直す必要がある。特に、大企業では、コストの高い50代の処遇が、見直しの中心になってくるだろう。