再雇用70歳まで延長し新役職も サクラファイン

病理検査機器・器材の製造・販売を営むサクラファインテックジャパン㈱(東京都中央区、石塚悟代表取締役社長兼CEO)は、6月から定年後再雇用の上限年齢を70歳まで引き上げた。併せて再雇用者のみを対象とする役職として、新たに「シニアエキスパート」を設ける。新たな会計年度が始まる10月以降、若干名を任命する。
業態の特性上、病理標本を顧客に作成してみせるなどの専門的な業務があり、定年後もそうした業務に携わる人材を役職者に任命し、後進育成などの役割を担ってもらう。職場内で指導者としての立場を明確にする一方、本人には役職手当を毎月支給する。
(労働新聞 6月29日)

70歳までの就労機会の拡大を進める企業が相次いでいるが、シニアの処遇は企業によって様々だ。多くの企業では、定年後に再雇用し、給与は下がる。ただ、専門的な業務のある企業では、シニアの専門的な知識やノウハウへの期待は大きく、そうしたシニアは厚遇される。サクラファインはそうした企業のひとつだ。

病理標本の作成は、その作業そのものに専門的な知識が必要だが、顧客ごとにそのニーズに合わせて作成するので、顧客とのコミュニケーション能力も問われる。顧客自身がそのニーズを明確に認識していないときは、顧客が必要とするであろう標本を探って、実際に作成してみせることもある。顧客にとっての最適解を効率的に見出すには、経験が物を言う。こうした職場で、経験豊富なシニア専門家を役職者にし、責任と権限を与えるのは、合理的な人事政策だ。