繁忙期の人材派遣、熊本県五木に協同組合

人口減少が進む過疎地の事業所が必要な労働者を確保するため、国が設けた新制度を利用した協同組合が4日、熊本県五木村で発足した。村内の9事業者が加入し、それぞれの繁忙期に労働者を派遣してもらい、人手不足の解消を目指す。
(中略)
五木村複業協同組合の9事業者は、飲食業、農林業、みそ製造業、宿泊業、土木工事業、運送業など。雇用する労働者は当面3人を予定。5~11月の農繁期には農作業、3~5月と8~11月の観光シーズンには民宿や飲食店、12~2月の閑散期には製造所などで働く。
(朝日新聞 6月8日)

総務省が昨年6月に設けた「特定地域づくり事業協同組合制度」を活用した協同組合が各地に設立されている。熊本県の五木村複業協同組合もそのひとつだ。それぞれの地域の特色を活かして、複数の事業者が協同して雇用の創出に努めているが、五木村の場合は、農業、観光、味噌製造等の製造業など、繁忙期の異なる地場産業を組み合わせて、通年の雇用を創出した。

他の地域でも様々な産業の組み合わせで、通年の雇用となるよう工夫しているが、繁忙期が重なることもあって調整は難しい。実際、五木村でも8~11月の観光シーズンは農繁期でもある。ただ、冬場が繁忙となる味噌製造と組み合わせることで、全体のバランスを取ることに成功した。味噌は寒仕込みが良いとされ、味噌を仕込む時期は1~3月がピークとなる。気温が低いと発酵がゆっくり進み、味に深みが出るからだ。高齢化が進んだ農村で複業協同組合を作る場合には、こうした冬に繁忙となる製造業の参加と地域の高齢者が働き安い環境を整えることとが重要になる。