稼げるシニアの条件は得意技磨き

65歳を過ぎても稼げるシニアが台頭している。
(中略)
シニアに何を期待すればよいか労使とも惑うなか、現場で働き続ける68歳のエンジニアと69歳の銀行員がいた。2人の武器は磨き上げた専門職能。
(日本経済新聞 5月27日)

この記事で紹介されているエンジニアは「民生用機器の駆動部や変速装置の設計」、銀行員は「企業財務の分析」の専門家だ。こうした特定領域で卓越した能力があれば、専門家として年齢とは関係なく現場で活躍し続けることができる。ただ、管理職としてのキャリアを積み重ねながら、専門家としての能力を磨き続けることは、それほど簡単ではない。企業も従業員本人も長期的なキャリアプランに基づいて能力を開発する必要がある。

また、待遇についても、その専門能力に見合った水準にすべきだ。この記事に紹介されている京葉銀行の場合、シニアスタッフ行員として月15日勤務すると、給与や公的年金、企業年金などを合わせ年収は500万円前後なるという。シニアとしては良い収入と言えるかもしれないが、この記事の銀行員は現役時代、支店長だった。支店長の年収は、銀行にもよるが、1,500~2,000万円が相場だ。大企業で、この年収の人が退職すれば、公的年金と企業年金だけで年収は500万円程度になる。働いても働かなくても年収に大差がないとすれば、働くモチベーションは上がらない。年金との合計金額でシニアの給与水準を決めるという慣習も転換すべき時にきている。