70歳就業、準備進まず

企業での働き方に大きな影響を与える雇用関連制度が4月1日に導入される。「70歳就業法」とも呼ばれる改正高年齢者雇用安定法の施行と、中小企業への「同一労働同一賃金」の適用だ。いずれも多様な働き方を認めて自由に選択できる環境を整えるものだが、準備が進まない企業が多いのが実情だ。
(中略)
全国中小企業団体中央会の佐藤哲哉専務理事は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、対応できているのは中小企業の5割超にとどまると説明。「モデルケースを示して対応を促している。混乱が起きないようにしっかりとバックアップしたい」と語った。
(時事ドットコム3月26日)

70歳までの就業は義務ではなく努力義務に留まるだけに、全ての企業が対応しようしないのは致し方ない。問題は、対応する企業の割合がどの程度になるかだ。全国中小企業団体中央会が言うとおり、5割超の中小企業が70歳まで就業できる制度を導入するのならば、むしろ、高年齢者雇用安定法の改正は、一定の効果を上げたとも言える。新型コロナウイルス感染症が終息すれば、再び人手不足が意識されるようになり、高齢者の雇用に積極的な企業はさらに増えるだろう。
ただ、すぐに新たな制度を導入しないとしても、今のうちから高齢者雇用について長期的なあるべき姿を考えておくことは重要だ。この記事では、改正法施行への対応を「考えていない」と回答した企業が32.4%、「分からない」と回答した企業が14.9%に上ると紹介しているが、この数字は多い。そもそも、「考えていない」や「分からない」では、努力をしていないことになり、努力義務を果たしていない。行政には、企業の努力の仕方も指南する努力が必要だ。