シニア戦力化へ診断ツール提供 JEED

(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(和田慶宏理事長)は、高齢社員を戦力化するうえでの人事課題が手軽に把握できる診断ツールの配布を開始した。活用方針・活用戦略、評価・処遇などの5領域、計25項目に回答するだけで、自社の現状を数値化できる。客観的なデータを通じて、全国に約550人配置している65歳超雇用推進プランナー、高年齢者雇用アドバイザーへの相談につなげるのが狙い。
(労働新聞 2月22日)

シニアの能力を活用したいがその方法が分からないという企業も多い。65歳超雇用推進プランナーや高年齢者雇用アドバイザーが相談に応じてくれるサービスもあるものの、そもそも、自社が直面している課題が明確でないと具体的に何を相談すればよいのか分からない。そんなとき、この記事が紹介している「雇用力評価ツール」は、自社の「雇用力」を客観的に評価する上で役に立つ。零細企業であれば、その簡易版である「65歳超戦力化 雇用力評価チェックリスト(簡易版)」を使うのもよいだろう。

このツールには、ベンチマークとして、「高齢社員の強みを活かし、かつ65歳以上の
高齢者を活用している企業の上位約10%を抽出し、その平均値を示したデータ」も示されている。これを自社と比較することで、自社の課題の把握も可能だ。ただ、ベンチマークのデータは、「能力・キャリア開発」のポイントが他の評価項目に比べて低い。その原因は、「能力・キャリア開発」の中で「高齢者に対して、教育訓練(社外セミナー等)や自己啓発支援を行っている」という項目のポイントが低いからだ。

逆に言えば、教育訓練や自己啓発支援を行わなくても高齢者を活用している企業が多いということでもある。言い換えれば、それは、今までと同じ業務を継続している場合は高齢者をよりよく活用できるということだ。確かに、それは一面の事実ではある。しかし、高齢者の雇用機会を拡大するには、これまで従事してきた業務以外の仕事も担当できるようにすることも重要だ。そのためには、教育訓練や自己啓発支援は欠かせない。「雇用力評価ツール」を利用する企業は、この点について、ベンチマーク企業を超えるレベルを目標とする必要がある。