東日本大震災10年、林業×雇用創出 高齢者・障害者の生きがいに

津波で流された水産加工場の跡地に、まきを割る音が響く。リアス式海岸が延びる岩手県釜石市の箱崎半島。高齢者や障害者に生きがいを取り戻してもらおうと、林業と福祉が連携して始まった「まきづくり」の取り組みが、開始から2年あまりで地域に希望をともしている。
(毎日新聞 2月11日)

林業は、担い手が不足して事業の継続が厳しい状況にあるものの、野外で体力を使う仕事というイメージが強く、高齢者や障害者の関心は高くない。しかし、業務を限定すれば、高齢者や障害者でも携わることはできる。たとえば、山から木を切り出す作業は大変だが、切り出された木材から薪をつくる作業は、チェーンソーのような器械を使えば、それほど重労働ではない。

また、作業の日程に融通を利かせることができるのも薪作りが高齢者や障害者に向いている点だ。薪は農作物のように今日中に収穫できないと商品価値が下がるということはない。人手が確保できるときに作り置きをしておくこともできる。働く時間を多様に選択したい高齢者や障害者には都合が良い。

林業全体の業務プロセスの中から高齢者や障害者が取り組みやすい業務を切り出し、仕事として組織化した釜石市の薪作りは、他の業界のモデルにもなるだろう。