職業紹介所が年配者向け窓口新設、人員体制も増強

基山町無料職業紹介所がリニューアルし、開所式が4日、町役場で開かれた。年配者向けの窓口設置など新たに機能が拡充し、町や町商工会、ハローワーク関係者らによるテープカットで新たな門出を祝った。
 職業紹介所は2018年12月、町役場1階の福祉課窓口の隣にオープン。当初はシングルマザーなど女性や子育て世代を中心にした利用を想定していたが、55歳以上が相談者の約半数を占めるなどシニア層の利用が多かったため、町は需要に応える狙いからリニューアルした。
(佐賀新聞 1月5日)

基山町は、佐賀県の東端に位置する人口1万7千人余りの町だ。福岡市の博多駅までJRを使えば25分で行くことができ、福岡市の通勤圏ではあるが、高齢化は進んでいる。町は、人口減少を食い止め、若い世代の増加を図るため、子育て・若者世帯に住宅取得補助金を出すなど、若年層に向けた定住プロジェクトを推進してきた。町営の無料職業紹介所が、これまで女性や子育て世代を主な対象としてきたのもそのためだ。

ただ、住民の年齢が高くなってきていることから、実際に就職相談に来るのは子育て世代より高齢者の方が多い。若年層は電車に乗って福岡まで通勤することにさほど抵抗はないが、高齢者はできれば地元で働きたいと思っている。自治体の目指す姿が現状の打破にあるとすれば、そのための施策と現在の住民のニーズとの間に乖離が生じるのはやむを得ないとはいえ、職を求める高齢の住民の声に耳を傾けることも重要だ。

少子高齢化は全国的な問題ではあるが、地理的な位置や地場産業など置かれた環境は地域によって異なる。自治体は、地域の環境に合わせて、予算や人員などの資源の配分を最適化していかなければならない。基山町の今回の職業紹介所リニューアルは、そうした試みの一つだ。