三井住友信託銀、定年65歳に引き上げ

三井住友信託銀行は2021年4月から、定年を60歳から65歳に引き上げる。60歳以上の行員が専門知識を生かして仕事を続けられる環境を整える。これまでも多くの行員が定年時に再雇用を希望してきたが、職務は限られ、給与も減るのが一般的だった。定年延長により、60歳以上の行員に対し、能力や成果を重視して給与水準などを決める「ジョブ型」雇用の考え方を取り入れる。就業地域の希望を聞く仕組みも導入する。
(読売新聞 11月8日)

金融業界では、定年延長の動きが一般化してきた。他の業界に比べて取引先が多く、取引先の中小企業への出向や転職の機会も多いが、それでもすべての従業員にポストを用意できるわけではない。自行内での就業機会の拡大は避けて通れない道だ。

自行内にシニアが増えれば、そのパフォーマンスが企業業績与える影響は大きくなる。人件費と成果のバランスを最適化して、資本効率を上げるには、再雇用をして一律に給与を下げるより、ジョブごとに条件を決めるジョブ型雇用の方が良い。

加えて、銀行のジョブも、金融に対する規制緩和によって、今後、選択の幅が拡がる可能性がある。銀行がコンサルタント業など多様な業務に参入することができるようになれば、行内のシニアの専門知識を活かせる仕事は増えるだろう。マイナス金利が長期化して銀行の収益が厳しさを増す中、行政も金融界も、銀行の潜在的な能力を社会に付加価値として還元する方法を考える必要がある。