ノジマ、80歳まで就労可能に 販売員ノウハウ長く活用

家電量販店ノジマは最長80歳まで従業員の雇用を延長できる制度を設けた。雇用契約の上限を65歳から大幅に引き上げた。現場での販売員などで雇用延長を見込む。高齢者の就業機会確保が2021年春から企業の努力義務になることもあり、シニア人材の活用は企業にとって課題だ。労働集約型の小売業界では人手不足への備えとして、雇用年齢の引き上げが広がりそうだ。
(日本経済新聞 7月26日)

「改正高年齢者雇用安定法」の施行によって70歳までの雇用継続をどう実現するかが企業の新たな課題になっている中、ノジマは80歳まで雇用を延長できる制度の導入に踏み切った。本人が希望すれば、80歳を超えても雇用することを検討するという。事実上、年齢による制限を無くしたと言ってもよい。

家電量販店に限らず、接客にはノウハウが必要だ。デパートでも、宝飾品や時計、美術品など高額商品の売り場には、高齢の店員が多い。ベテランの店員が培ってきた接客術と富裕層との顧客関係は、デパートにとって貴重だからだ。家電は、商品の入れ替わりが早く、最新機能の説明も必要なことから、比較的若い店員が多いが、それでも接客のノウハウはベテランに一日の長がある。

人による接客は、ネット通販に比べてコスト高となる要因ではあるものの、その一方で、顧客に提供する付加価値も高める。リアルな店舗がネット通販に対して競争優位になるには、優れた接客技術の維持は欠かせない。今後は、優れたノウハウを持った店員の年齢制限はなくなり、接客の現場に立つかどうかを決めるのは、年齢ではなく、ノウハウの優劣になる。