70歳雇用延長、シニアの半数が肯定的

70歳までの就業機会の確保が2021年春から企業の努力義務になることを巡り、シニア世代の半数が肯定的に捉えていることが野村総合研究所の調査で分かった。適用対象となる55~64歳の正社員のうち、実際に70歳まで働く意向を示している人も5割となった。働き方としては兼業を希望する人が6~7割となり、関心の高さをうかがわせた。
(日本経済新聞 7月22日)

この調査によると、改正高年齢者雇用安定法の内容については、「聞いたことはあるが、内容はよく知らない」が68%と、広く知られているわけではない。しかし、制度は良く分からないが、長く働けるのは一般的に賛成というのが多くの人の意見のようだ。

特に、55歳~64歳の正社員では、約半数が70歳またはそれ以上の年齢、平均では72.8歳、まで働く意欲を示している。多くの正社員は、今まで働いてきた企業や組織で65歳以上まで働き続ける方が良い、と感じるのかもしれない。さらに、60歳~64歳は、55歳~59歳に比べて、70歳まで働く意欲が高い。つまり、60歳で退職するという選択をしなかった人は、さらに長く働きたいと思っている。50代の頃は70歳まで働く気はなくても、60代になってみるともっと長く働きたいと思う人も多い。

正社員の中で、65歳以上になっても現在の職場で働き続ける人が増えると、労働市場に参入する高齢者の数は減る。このため、高齢者の採用が難しくなるも懸念されるが、一方で、この調査が明らかにしているように兼業を望む人が増えているのも事実だ。専業だけでなく、副業として仕事をする人も対象にすれば、人材確保の可能性は高まる。働き方の多様性を拡げることが、今後の人材獲得のポイントだ。