定年延長2割超が検討 富山県経営者協会まとめ

富山県経営者協会は、人手不足対策の高齢者雇用に関する会員企業対象の調査結果をまとめた。希望する人が70歳まで働き続けることができる就業機会の確保に向け、2割超が定年延長すると回答した。既に定年を延ばした企業のうち、8割が65歳まで延長している。同協会は「70歳就業に向け、定年延長を検討する企業が増える可能性がある」とみている。
(北日本新聞 3月7日)

定年延長に踏み切る企業は増加傾向にはあるが、全国的には、まだそれほど多くない。そんな中、2割超の企業が定年を延長するとしている富山県の調査データは特徴的だ。一般に、大企業の事業所が多い大都市圏よりも、中小企業の比率が高い地方の方が定年延長を導入する企業が多いが、富山県は特に多い。

富山の伝統的産業ともいえる製薬業は、景気変動による業績への影響が少なく、比較的将来の事業の見通しが立てやすい。若年層の減少による人手不足が長期的に見込まれる現状を鑑みれば、高齢者を継続して雇用しても、余剰人員を抱え込むリスクは少なく、むしろ、企業の長期的な事業継続にとってプラスになる。今後は、異業種から製薬業界へ高齢者が転職してくるケースも増えるだろう。さらに、この長期的に人手不足が見込まれる業界への高齢者のシフトは、全国に波及する可能性も秘めている。