雇用形態の整備手探り、70歳就業で企業

政府が従業員に対する70歳までの就業確保に努めるよう企業に求める高年齢者雇用安定法などの改正案を閣議決定したことを受け、北陸の企業で対応を検討する動きが強まっている。人手不足に悩む飲食や自動車ディーラーは経験豊富なシニアの雇用に積極的な一方、中小の製造業からは労務管理の負担増などを懸念する声が上がる。各社は就業形態の整備を手探りで進める。
(北國新聞 2月6日)

70歳までの就業確保の努力義務が企業に課せられる日が近づき、企業側も自社での対応策を具体的に検討する必要に迫られている。人手不足に悩む企業では、当然、高齢者の雇用継続に積極的だ。一方で、人員に余剰感がある企業では、負担増を懸念する声が高くなる。企業が、負担増を理由に、結局、国に補助金を要請するだけというのでは、高齢者の雇用継続は社会全体の付加価値増大にも経済成長にも寄与しない。重要なことは、高齢者が就労によって生み出す付加価値を社会全体で高めることだ。

そのためには、労働市場における高齢者の流動性を高めて、能力をより発揮できる職場へ企業を越えて移動することが重要になる。それに加えて、高齢者の能力を引き出す職場環境の整備に関するノウハウを社会的に共有化することも考えるべきだ。人員の余剰感を抱いている企業が、人手不足で高齢者の雇用継続に積極的な企業の施策を参考にすることによって、新たな高齢者活躍の可能性を見出し、余剰感が払拭されることもある。政府が提供すべきは、補助金ではなく、ノウハウだ。