19年求人倍率10年ぶり低下、高齢者の就業者数は過去最高

厚生労働省が31日発表した2019年平均の有効求人倍率は1.60倍で前年比0.01ポイント低下した。過去3番目の高さだったものの、製造業など一部の求人に陰りがみられ09年以来10年ぶりに低下した。総務省が同日発表した19年平均の完全失業率は18年から横ばいの2.4%だった。
(日本経済新聞 1月31日)

10年ぶりに前年より低下したとはいえ、1.60倍の有効求人倍率は過去3番目に高い水準だ。低下したのは、米中貿易摩擦などで製造業が、先行きに確信を持てず、求人を減らしていることが影響した結果だが、そもそも、自動車産業を除けば国内の製造拠点の多くは海外へ移転しており、国内の労働市場における製造業のプレゼンスは低下している。日本全体としては、今後も、有効求人倍率は高止まりを続けるだろう。

そんな中、女性と高齢者の就業者数は、確実に増加している。特に、海外移転が難しいサービス業では、女性と高齢者と外国人の採用を増やさなければ、事業の拡大はおろか、維持するのも難しい状況だ。短期的には新型コロナウイルスの感染拡大などの不確定要素はあるが、長期的に見れば、求人は高水準を維持する。それに見合う求職者を確保するには、行政の施策だけでなく、求人側の企業にも待遇の改善などの努力が必要だ。