人手不足の裏返し・島根の高齢者雇用は全国上位

島根労働局が県内企業の高齢者雇用状況について調査した結果、全国でも上位レベルの対応を企業がとっていることがわかった。高齢化が進み、若年層の労働者の少ない現状から、人手不足を定年延長などでしのぐ姿が浮き彫りとなった。
(産経新聞 12月1日)

毎年、年末になると全国各地の労働局が6月1日現在の高齢者雇用状況の調査結果を発表する。例年、高齢者雇用の制度を持つ企業の割合は、地方の方が多い。たとえば、66歳以上が働ける制度のある企業の割合は、秋田、大分、島根の順で多く、東京は最下位だ。

このように地域によって高齢者雇用状況が異なる理由として、地方の方が、高齢化が進行し、人手不足が深刻であることがよく挙げられる。それは一面の事実ではあるが、理由はそれだけではない。たとえば、高齢者雇用状況は、地域だけでなく企業の規模によっても異なる。一般に、大企業の方が中小企業よりも早く退職する傾向があり、66歳以上が働き続ける制度を用意している割合は少ない。大企業の事業所が大都市圏に集中していることを考えれば、大企業が多いということも、大都市圏で高齢者雇用の制度が拡がっていない一因と言える。

そうであれば、地方の人手不足対策としては、地元の若者を引き留めるだけでなく、大都市圏の高齢者の移住を促すというのも有効だ。大企業で培った経験とノウハウを地方の中小企業で活かす、行政は、今後、そんな取り組みも積極的に展開すべきだろう。