70歳雇用の一律義務化に反対 関西経済連合会意見書

関西経済連合会は18日、70歳までの就業機会確保に向けた政府の法改正の動きをめぐり、一律的な雇用延長の義務化に反対する意見書を公表した。各社の状況を踏まえた柔軟な制度にすべきだとしている。
関経連は労働人口の急激な減少を受け「高齢者の雇用拡大を進めることは喫緊の課題」としつつ、高齢者が「健康状態や家庭の事情、意欲、能力などの個人差が65歳までよりもさらに拡大する」とし、「各社の多様な対応、自由度の高い判断が可能な柔軟な制度とすべきだ」と主張している。
(産経新聞 11月18日)

政府が70歳までの雇用を推進しようとしていることに対して、経済界が企業の負担増を懸念して警戒を強めている。関経連に限らず、経済団体の多くは、70歳雇用の一律義務化には反対だ。政府も義務ではなく、努力義務として経済界との折り合いをつけようとしている。残る争点は、具体的にどのような努力が求められるのかという点だ。

関経連が主張するように、高齢になればなるほど、個人差は大きくなる。一律に自社のすべての高齢従業員を雇い続けるのは難しい。しかし、条件が合えば、高齢者の雇用を増やすことも可能だ。問題は、自社の高齢の従業員の条件に合う業務を事業主が提供できない、あるいは、逆に、自社の条件に合う高齢の従業員が自社内にいないことが往々にしてあることだ。そのような場合、条件が合わずに高齢者が退職しても、それに見合う数の条件の合う高齢者を社外から採用すれば、その事業主が雇用する高齢者の数は維持できることになる。努力義務には、自社従業員に対する努力だけでなく、このような社会的貢献も含めるべきだ。