高齢者雇用、業務委託も 起業など対象―厚労省

厚生労働省は15日、高齢者の雇用拡大で70歳までの就業に関する方針を労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会に提示した。企業の新たな就業確保措置となる起業とフリーランスについて、対象者と業務委託契約を結ぶ制度を設ける必要があるとした。
65歳までの雇用確保をめぐっては、企業に定年の廃止または延長、継続雇用のいずれかを義務付けている。一方、70歳までについては努力義務とした上で、起業とフリーランスのほか、他社への就職、社会貢献活動を就業確保措置として認めることが決まっている。
(時事通信 11月15日)

2019年6月21日の閣議決定では、70歳までの就業確保措置として、個人とのフリーランス契約への資金提供や個人の企業支援が盛り込まれている。厚生労働省が11月15日の労働政策審議会の職業安定分科会雇用対策基本問題部会に提示したのは、この就業確保措置として事業主が実施する内容の案だ。

70歳までの雇用を事業主の努力義務とする以上、起業したりフリーランスになったりしたら、それで事業主の役割は終了というわけにはいかない。そこで、事業主が定年後又は65歳までの継続雇用終了後に起業したりフリーランスになったりする者との間で業務委託契約を締結する制度の創設が提案された。元の雇用主との間である程度の金額の契約があれば、独立する従業員にとっても事業安定の一助にはなる。

ただ、一方で、既存の継続雇用制度よりもフリーランスへの業務委託の方が事業主にとって負荷が少ないとすると、65歳以上を対象とする継続雇用制度は、フリーランスへの業務委託に置き換わり、淘汰されてしまう可能性もある。委託業務制度の設計は、他の就業確保措置とのバランスを考慮することが重要だ。