バス運転手、年齢緩和の波 名鉄バス、72歳まで引き上げ

愛知県内を中心に路線バスを運行する名鉄バス(名古屋市)は9月から、運転手の再雇用の年齢制限を3歳引き上げ、72歳までとした。運転技量や健康に問題がないことが確認できれば、引き続きハンドルを握ってもらう。中部地方のバス業界では深刻化する運転手不足に対応するため、同様の動きが広がっている。
名鉄バスの運転手の定年は65歳で、適性診断をクリアした希望者は、69歳まで再雇用してきた。昨年、65歳以上を対象に脳ドック受診を導入。今回の年齢制限緩和を受け、67歳時と、69歳以降は毎年の脳ドック受診を条件に加えた。新制度を利用し70歳を超えて働く運転手は3人で、企業の送迎バスなどの業務をしている。
 (中日新聞 11月4日)

名鉄グループは、バスだけでなく、グループ全体で雇用の年齢制限を引き上げてきたが、いよいよ70歳を超える水準にまで上がってきた。70歳を超えても雇用の機会が得られるのは高齢者にとって歓迎すべきことであり、バス会社にとっても人手不足の緩和に役立つ施策だ。千数百人の運転手を擁する名鉄バスの中で、70歳を超えて働く運転手はまだ3人と少ないが、今後、その数は増加し続けるだろう。

一方で、バスの運転手は乗客の命を預かる仕事だけに、高齢であるが故のリスクは極力減らす努力が必要だ。毎年脳ドックを受診することはリスク低減にはつながるが、突発的な病気の予防には効果が限られる。健康状態を計測するリストバンドを常時装着するなど、ITを駆使した総合的な健康対策が重要だ。さらに、将来的には、運転手の健康情報とバスの事故防止システムが連動して、事故を未然に防ぐ運行システムが確立することを期待したい。