企業年金、70歳まで加入へ 確定拠出で期間延長

厚生労働省は企業で働く人が加入できる企業型確定拠出年金について、今は60歳までとなっている掛け金の拠出期間を70歳まで延ばす方針だ。掛け金を長く積み立てられれば運用資産が増え、退職後にもらう年金も増えやすくなる。公的年金に上積みとなる企業年金を充実し、老後への備えを後押しする。
社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の専門部会で近く案を示す。2020年の通常国会に改正法案を提出し、早期の実現を目指す。税制上の扱いは財務省や与党と調整を進める。
(日本経済新聞 10月4日)

70歳まで働く社会を目指していることを考えれば、年金の掛け金を70歳まで拠出できるように制度を改正するのは当然だ。企業型確定拠出年金も例外ではない。ただ、給付額が決まっている確定給付企業年金の加入期間が既に70歳になっているのに対して、運用結果によって年金額が変動する企業型確定拠出年金の方は拠出期間の年齢が60歳にとどまっていたのは、企業側の負担を考慮していた面もある。

確定給付企業年金を採用している企業は大企業が多いのに対して、企業型確定拠出年金を取り入れている企業は中小企業が多い。中小企業の中には、年金の掛け金の負担増を敬遠して、高齢者の雇用延長に消極的になる企業もある。このため、厚生労働省が今回提示する案では、企業が70歳までの間で自由に期間を設定できるようにした。しかし、これでは、法的に70歳までの延長が可能になっても、実際に延長する中小企業は増加しないかもしれない。実際に期間を延長する企業を増やすには、制度改正だけでなく、企業の負担増を上回る価値を高齢者が創造できるような仕組みを企業も社会も考える必要がある。