OECDが雇用拡大を提言 日本は50歳以上29%増へ

経済協力開発機構(OECD)は4日までに、加盟各国が高齢者の就業機会拡大と改善を進めるべきだとする報告書をまとめた。各国で急速に高齢化した結果、2050年に50歳以上で仕事をしていない人が日本は18年度比で29%増加。OECD平均でも同39%増え、労働力人口の減少は経済成長に悪影響をもたらすと警告した。
 報告書は日本の特徴として、60歳で定年を迎えた後に再雇用されると賃金が下がり主要な仕事を任されなくなる慣行があると指摘。仕事から引退する年齢を遅らせ、就業率の男女差を縮小すれば、この伸び率を日本は5%、OECD平均でも9%へ下げられる可能性があるという。
(共同通信 9月4日)

OECDの報告書では、毎年のように日本の高齢者の就業機会についての課題が指摘されているが、就業機会の拡大と改善は、OECD加盟国全体が共有する課題でもある。程度の差こそあれ、先進国では高齢化は避けられない。高齢化の進行が避けられないなら、高齢者がより多く就労しなければ経済を維持することは難しい。

一般に、高齢者の就労機会の拡大には、高齢者が働く意欲を失わないようにする必要がある。しかし、日本では、OECDが指摘するように、60歳以降では低賃金になる傾向があり、このことが、就労意欲を減退させる要因のひとつになっている。職を求めている高齢者に雇用機会を提供する施策だけでなく、十分な年金と資産を持っている層でも就労意欲が高まるような施策も必要だ。この点では、日本は他のOECD諸国に学ぶべきことは少なくない。