G20「高齢者が働きやすく」 労働相会合で共同宣言

松山市で開かれている20カ国・地域(G20)労働雇用相会合は2日、2日目の会議が開かれ、各国で進む高齢化を踏まえ、高齢になっても働きやすい、健康的で安全な労働環境整備の推進を盛り込んだ共同宣言を採択して閉幕した。就労面での男女平等の実現に向け、格差是正に取り組む方針でも一致した。
会合のテーマは「人間中心の仕事の未来」。G20各国で人口に占める65歳以上の高齢者の割合が増えると見込まれる中、労働力人口の不足や経済成長の減退に対応するため高齢者の雇用促進策を議論。高齢者の雇用を企業に働き掛けたり、年齢による差別のない採用を奨励したりすることで合意した。
(大阪日日新聞 9月2日)

65歳以上の高齢者の割合が増えるのは日本だけの問題ではなく、先進国に共通する問題だ。したがって、高齢者の雇用促進はG20共通の課題だ。ただ、国によって人事制度は異なるため、課題達成のために必要な施策もその優先順位もそれぞれ異なる。たとえば、企業に対して年齢による差別のない採用を奨励することは、日本にとっては意味のある施策ではあるが、G20の多くの国ではそもそも採用で年齢による差別は少ない。米国のように差別を原則禁止している国もある。

今回は、G20労働相会合が日本で開催されたことで、日本が主張した課題認識が色濃く反映された共同宣言となった。日本政府としては、政府の施策と方向性を合わせた共同宣言をまとめることができたのは、一応成功と言っていいだろう。しかし、真の問題は、米国のように採用で年齢による差別をなくしても、なお、高齢者の就労には壁があるということだ。その壁を低くするには、高齢者が仕事によって生み出す付加価値を向上させなければならない。それがG20が共同で取り組まなければならない喫緊の課題だ。