高齢労働者の健康維持、ガイドライン作成へ 厚労省の有識者会議

厚生労働省は5日、高齢労働者の病気や労災を防ぐための方策を議論する有識者会議の初会合を開いた。政府は「人生100年時代」を掲げ、希望者が70歳まで働けるよう雇用環境などを整備する方針。有識者会議では高齢労働者が健康で働き続けることが大事だとして、ガイドラインを作成する考えだ。

厚労省によると、高齢労働者の労災発生率は高く、平成30年、休業4日以上では60歳以上が4分の1を占める。転倒や転落が多く、70歳前後の発生率は30歳前後と比べると男性は2倍、女性は5倍に。脳卒中などにつながる疾病も年齢が上がるほど多くなる。(産経新聞 8月5日)

建設現場など主に肉体を使う労働の場合、どうしても高齢労働者の労災発生率は高くなる。建設業界も高齢者の安全確保に関する課題を認識しており、転落防止などの対策に乗り出した。

しかし、高齢者の労災リスクは、いかにも危険そうな作業現場だけではない。事務所内でも、わずかな段差が原因で転倒して怪我をすることもある。反射神経がやや衰えた高齢者でも安心して働けるようにするには、フロアの段差をなくすなど、職場環境へのきめ細かな配慮が求められる。

また、有識者会議では、介護施設などを含むサービス業でも労災が増加していることが話題となった。介護施設では、高齢のスタッフの雇用が拡大しているが、中には腰痛を発症する高齢スタッフもいる。介護支援機器の高度化とともに、若い介護士とは異なる基準で労働環境を整備する必要があるだろう。