トヨタ、人手不足に危機感

トヨタ自動車が、取引先で深刻化する人手不足への本格対応に乗り出した。製造業の働き手の不足は歴史的な水準だ。トヨタを含め自動車各社は事業の足かせになりかねないとの危機感を強めており、人材確保に向けた対策の整備が急務になっている。
(中略)
自動車各社は雇用年齢の上限引き上げや、定年退職後の再雇用制度の充実などを進めている。ホンダは定年を60歳から65歳に延長。若手社員の育成への貢献も期待する。トヨタも60歳の定年後に再雇用で働く技能系従業員の処遇を改善する雇用形態を20年に新設する方針だ。
(SankeiBiz 8月5日)

自動車産業は、製造業の中でも、ロボットなどの工作機械の導入率が高い業界であり、製造工程の自動化はかなり進んでいる。未だに多くの作業を人手でこなしている飲食店や小売店とは、現場の状況は異なる。しかし、それでも、人手不足に悩まされているのは同じだ。

しかも、自動車工場では、ロボットによる自動化が進んでいる分、人間の従業員に残された作業は、人間ならではのノウハウや技能がなければできない仕事になっている。つまり、経験のない作業員でも頭数さえ揃えれば処理できるという単純作業ではない。その分、飲食店や小売店に比べて、人手不足はより深刻だとも言える。自動車メーカーが、定年延長や再雇用時の待遇改善など、60歳以上の従業員のつなぎ止めに積極的になるのは当然だ。そして、この流れは、自動車の製造ラインが完全自動化されるまで、拡大を続けることになるだろう。