シニアも前線、実力本位

役職定年で一度は降りたポストに返り咲いたシニアがいる。太陽生命保険で情報システム担当の課長を務める山口好勝(62)だ。同社は2017年春に定年を60歳から65歳に改定。57歳に達すると管理職から外れる役職定年も廃止したことで、再び現場の責任者となる機会が巡ってきた。(日本経済新聞 7月19日)

60歳以上の従業員を再雇用で雇用延長する企業が多いが、一方で定年を延長する企業も増えてきた。定年延長となると役職定年も延長したり、役職定年の制度自体を廃止したりする企業も出てくる。そうなると、太陽生命のように、一旦、役職を離任した従業員が再び管理職に復帰する例も生まれることになる。

今までも、60歳以上の役員や経営者が数多く存在していることを考えると、能力的には60歳以上でも管理職として職務を続けることは可能だろう。それにもかかわらず、役職定年が存在してきたのは、若い世代の昇進の機会を増やすためであると同時に、年功序列を是とする雰囲気が組織内にあったからだ。

人事の思想を年功序列から能力主義に切り替えるならば、高齢の管理職が残っていることと、若い世代の管理職への登用の機会を増やすことは矛盾しない。能力によって、管理職への登用者を選抜するということは、年齢に関係なく管理職になることを可能にすることだ。その結果として、管理職の年齢は、上にも下にも広がることになる。太陽生命のような例が増えていることは、日本企業の組織風土が、能力主義を自然なことと受け止めるようになってきた証左であり、この流れは今後も拡大するだろう。