マンション管理人が足りない 賃上げでも採用難

不動産大手がマンション管理人不足への対策を進めている。三井不動産グループは採用開始年齢を引き上げたほか、大京グループは人工知能(AI)で業務を効率化する。企業の定年延長や再雇用拡大の影響で管理員を務める高齢者雇用が困難になっている。(日経産業新聞 7月3日)

マンションの管理人は、元々高齢者の職場であったが、65歳までの継続雇用の義務化に加えて、飲食業や小売業などでの高齢者の雇用の拡大の影響を受け、人材確保が難しくなっている。管理人の賃金は、これまで定年退職後の人材を雇用の対象としてきたため、他の産業に比べて低い。逆に、多少低い賃金でも、第2の人生ならば良いと高齢の求職者側も納得していた。しかし、飲食業や小売業などでは、高齢者だからと言って賃金が極端に低くなることはない。このため、待遇面では管理人の人気が凋落している。

この結果、管理会社としては、管理人の給与を上げてでも人材確保を優先しなければならない状況に追い込まれているが、管理業務に占める人件費の比率は高く、管理人の待遇改善は、マンションの管理組合から受け取る管理委託料の値上げ無しには難しい。しかし、管理委託料の値上げは、管理会社のリプレースにつながるリスクがあり、管理会社としては避けたいところだ。管理員の給与を上げても管理委託料を値上げせず、AIなどの先端技術を使って生産性を上げ、少ない管理人で管理業務をこなすことが求められている。今後は、AIやIoTなどの先端技術を高齢の管理人が担当する管理業務に如何に活用するかが、管理会社の競争力を左右する時代になるだろう。