AI活用で高齢者などに活躍の場、厚労省労働政策基本部会の報告書

厚生労働省は27日、労働政策審議会労働政策基本部会の報告書を公表した。質の高い労働の実現のためにAIを活用する方向性を示しており、「高齢者、障害者、育児・介護を行う労働者等、働くことに制約のある多様な人材に活躍の場をもたらす効果も期待できる」としている。
(CBnews 6月27日)

厚労省のこの報告書には、「働く人がAI等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するために」という長い副題が付いている。AIを始めとする技術革新が労働環境に与える効果に期待しながらも、AIの活用が米中に比べて遅れている現状への危機感も伺える内容だ。

この報告書の中では、「介護ロボットにより、サービス内容の改善を図りつつ、労働者の身体的・精神的な負担を軽減し、体力面での制約が大きい高齢者も介護分野で一層活躍することが可能となった事例」も紹介されている。確かに、技術革新は、高齢者や障害者の雇用機会を拡大することに寄与し、人手不足解消にも役立つだろう。

一方で、「働く人がAI等の新技術を主体的に活かし」というのは、それほど簡単なことではない。特に、高齢者の中には、AI等の新技術を主体的に活かすことを求められても、当惑する人が少なからずいる。むしろ、必要とされているのは、「働く人」が高齢者のようにITやAIのリテラシーが高くない人々でも「新技術」を有効に活用できるよう、使う人に合わせて、インターフェースをパーソナライズしてくれる技術だ。AIはそのようなインターフェースの実現にも役に立つ。